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 思った、この人のようになりたいと…。
 バイクに乗った。
 ライブに引っ張り出された。
 怒鳴られた。
 一緒に笑った。
 生きている、それが分かりかけてきた。
 全身で感じていた。
 でも…。
 瞳にはかすかにプリスの顔が映っていた。
 ごめんなさい、プリス。
 一生懸命だったのよ、自分の力で生きていこうと。
 こんなことになってしまった。
 くやしい。
 もう何もできないなんて。
 あなたの顔が見えない。
 光が感じられない。
 アンリ…。
 ステーションから地上の都市の輝きを見るのが好きだったわね。
 きらきらとして、とてもきれいだったのに。
 その光の中にやっと辿りついたというのに。
 記憶がフラッシュした。
 ナム、メグ、ルウ、みんなの顔だった。
 ごめん…。

 その言葉の途中で、彼女の意識はふっつりと途切れた。
 そして2度と戻ることは無かった。
 プリスの腕の中、シルヴィーの頬にひとすじの涙が光っていた。
 濁った夜空で、彼女の死を見とったのは僅かな星だけだった。



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