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  COLUMN


仕置き人
 企画書あたりによると、ナイトセイバーズは 「闇の仕置き人」 らしい。ただ画面を見ている限りでは、まったくそんな様子はない。ま、裏の稼業ではあるが 「なんでも屋」 ないしは私立探偵である。ボディ・ガード、必要な物件の入手、彼女たちのポリシーに反しない事情とコストに見合うだけのギャラを提示されれば、なんでも引き受けるようだ。
 私はそれでいいと思っている。
 だいたい、復讐引き受け業なんて、後ろ向きの設定は気にくわない。復讐しなければならなくなる前に、どうにかしろよ、といいたい。誰に頼ったっていい。思いつく限りのあらゆる手段をもって、対抗する。総力をもって反撃せよ!である。そのために手を貸す匿名の一団。それでいいじゃないか。
 はじめにさんざん悲惨なシーンを展開しておいて、事件自体は完結。そのあとでわけのわからん連中が出ばってきて、自分の欲求不満の解消して終わり。そーいうのって体質に合わないんだ。「必殺シリーズ」 なんて、全然つまらない。やったらべたべたしてる。「ハングマン」 とかいうのもあったけれどカス。ニヒリズムや気取ったハードボイルドなんかお呼びでない。ま、日本の実写ドラマにまともなエンターテイメントを期待することの方が、そもそも間違ってるんだけれど。
 「Aチーム」 の線は許せる。
 ナイトセイバーズが、裏稼業のために結成されたわけではない。これだけは確かだ。マスコミがそう呼んでいるにしても、アイリンの台詞、
『私が死んだら、あとは “闇の仕置き人” に頼んでね』
は、減点1である。

キャラクター(1) プリス
 なんと言っても 「声」 である。
 これに尽きる。
 第一印象が強烈だった。どこでも聴いたことのない声だった。
 かといって変だとか、下手だとかいうのではない。ハスキー、というのだろうか。完全に、役にハマった声だった。一時期、声優交代の騒ぎがあったが、これは頭を使うことを拒否した人間しか思いつかない愚行だ。前例にならうだけなら人間はいらない。そこらの32ビット・パソコンで十分だ。
 プリスは大森絹子さんの声しかありえないのだ。
 5,6話を経ていっそうプリス役との一体感を増したという大森さんの今後に期待したい。(他の役をやるときは大変だろうけれど、ね)

キャラクター(2) シリア
 スクエアで万能。一見、完全無欠。
 そんなキャラクターが好きだ。
 例えば 「ガルフォース」 ならエルザ、シルディーがそうなる。
 彼女たちは常にリーダーとしての孤独を背負っているからだ。
 「バブルガム・クライシス」 でも同じである。
 シリアのどこにひかれるかと言えば、やはりその孤立感、孤独感、だろうか。
 プリスも、リンナも、そしてきっとネネでさえも、ナイトセイバーズの誰もが無傷でも無垢でもありえない。けれどナイトセイバーズを作り、率いているシリアの影がもっとも深く、暗い。彼女たちの中で一番強く、そして一番弱い存在だろう。
 だから、一番シリアにひかれる。
 けれど誤解はやめてもらいたい。影は粉砕されるために存在するのだ。
 克服すべき重荷が多いからこそ、彼女を見守りたいのだ。
 いつか、きっとその全てをはねのけてくれると信じているから。
 だから、好きだ。
 気取った言葉を使うのを止めれば、一言でOK。
 守ってやりたい、のだ。
 まったくおこがましい言い様だけれどね、本心だからしょうがない。

キャラクター(3) リンナ
 容姿は一番好み、ただ性格描写がちょっと足りない感じだ。金銭感覚が発達しているという役どころらしいのだが…。1話以降その辺は出てこない。でも2話のアイリンとの話は気に入っている。キャラクター個人のエピソードとしては最も出来が良かったと思う(プリスの3話の方は悲惨すぎた)。7話までひっぱるとは思わなかったけれど。

キャラクター(4) ネネ
 ただひとり自分のエピソードがないのが彼女だ(90年10月現在)。
 しかし、それで文句を言ったらバチが当たるというものだ。なんのかんのといっても、ネネが一番多く描かれているのだ。分かりやすい性格だということもあるけれど、十分に長い時間画面に登場している(リンナは意外に出ていない)。5話の33Sについてのシリアとの会話シーン、モニターの中のネネの表情は絶品だった。
 そんなネネを見続けているから、主役をやって欲しいという気になる。
 シリアスになるかコメディになるか分からない。13話の中の1話を担うとすれば十中八、九シリアスだろうけれど、1つくらいは番外編的なエピソードもあっていいのではと思ってしまう。彼女くらい、明るい普通の女の子でいてもらいたいから。
 でも、そんなことになれば、またひとり仲間はずれにされたとネネがむくれることは間違いない。8話での主役、楽しみにすることにしよう。

スーパー・ブーマ
 レオンはスーパー・ブーマなんて気軽に言ってくれる。だが、いったい何が 「スーパー」 なのか今もって不明だ。衛星ビーム兵器のコントローラを持っていればいいのだろうか。それだけなら、7話に出る共同開発した 「新製品」 だってスーパー・ブーマの資格がありそうだ。クインシーの言葉によれば、コントローラを持っているブーマは 「キラー・ドール」 ということらしいから、これは違うだろう。では、ラルゴが真のスーパー・ブーマだろうか。どこがそうなのか…?

今後の展開
 ちらっとどこかで読んだ記憶では、シリーズは13話まで予定されているらしい。とすれば、一応折り返し点には達したわけだ。
 この先どうなるか。そんな予想は当たりっこないから、するだけ馬鹿だ。だから希望をいうとすれば、最終回、物語の閉じ方についてだけだ。いかにも有りがちなところに落ち着くようなことは拒否したい。マイナスの情感を抱えて余韻を楽しむような趣味は持ち合わせていない。変な例えだが、発展的解消、そんな終わり方を期待したい。
 最後の戦いが終わって、ティンセル・シティにナイトセイバーズの存在しない日がやってきてもよい。だが、シリア、プリス、リンナ、ネネ、マッキー…彼らがいなくなるなんてのは許せない。いや、ゲノムとは無関係にナイトセイバーズが活躍しつづける日々の方が本当だと思うのだ。
 よそさまのストーリーにこんな注文をつけるなんていうのは勝手も極まっているけれど、いい加減妙にテーマという形式上の呪縛にしばられた作品、結末にはあきあきなのだ。OAVには特にそんなのが多いけれど大抵意味不明に終わっている。例えば 「ゼオライマー」 とか 「妖刀伝」 とか…。何かやりたいことがあったらしいのだが、完全に空回りに終わっている富野さんの 「ガンダム」 シリーズもこの類、最悪の部類だ。
 ごく普通のハッピーエンドでよい。
 たまには、苦闘の末の勝利を描いてみせたらどうだ。当たり前のエンターテイメントを作れない者に、作家としての真の実力なんかありゃしないのだ。私はそう信じて疑わない。文学性、芸術性なんか知ったことか! エンターテイメントは全てを含み、全てを越えるのだから。

『ささやかな勇気 不屈のユーモア そして 天下無敵のハッピーエンド』

 これこそが究極のゴールである。
 願わくば、ナイトセイバーズに最後の勝利の輝かんことを。



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